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西に向かって旅を続ける一人の旅人がいました。
その旅人の目の前にとうてい超えることの出来そうにない大きな河が迫ってきます。
南側は燃えさかる火の河、北側は怒濤のように渦まく水の河。見るからに荒れ狂い、足を踏み入れる事すら出来そうにありません。
にもかかわらず、後ろからは賊が追いかけて来て、今にも捕まって殺されそうである。他方へ逃げようとしても猛獣がいてどうしようもできません。
切羽詰まって前方を見ると、火と水の河の間に5寸ほどの人間一人がやっと通れそうな白い道があり、向こうの岸まで続いている。
但し、一歩でも踏み外そうものなら火と水の河の藻屑となってしまうであろう。旅人はためらうばかりであるが、そこに東の方から声が聞こえてきます。
「大丈夫、怖れることなく、その白い道を進みなさい。死ぬことはありません。」
河の向こう岸、西の方からも「一心にためらうことなく来なさい。私が必ず救ってみせよう。」と声が聞こえてきます。
旅人は残された道がそれしかないことに気付き、脇目もふらず荒れ狂う二河の間のわずかな白い道を進み、無事に向こう岸につくこ
とが出来るという喩えです。
私達は今、この世でまよっています。群賊や悪獣(悪や誘惑の譬え)に襲われようとする衆生(私達)が、西(極楽浄土の方向)に向かって行くと、目前に火の河、水の河(人間のいかり・憎しみとこだわり・むさぼりの心の象徴)が現れる。
その間にわずかに白道(極楽往生を願う清浄な心)が対岸に向かってのびる。
この娑婆の世の私達がお釈迦様の教え(東からの声)に励まされ、西の岸からの阿弥陀如来のお導きによって迷うことなく白道をわたり極楽浄土をとげるということです。